伸ばされた、腕を見た。
 決して見失わないように固定したモニターの中、穏やかに笑う顔。
 翻る手、突きつけられた指先。
 微かに動く、口元。

 ―――聞こえない。

 閃光に消える一瞬まで、その姿はこんなにも鮮明に思い出せるのに。
 あんたの声だけが、聞こえないんだ…ロックオン。


2008.03.16
×刹那
届かなかった言葉






 なんて酷い人だ、貴方は。
「何故、奴の存在を彼に教えた」
 与えるばかりで、そのくせ何も受け止めようとはしない。
 身勝手に、貴方がありったけの思いを注いでいった彼らは、行き場を失くした感情を持て余し、翻弄され、消化できずにいる。
「君なら解っていただろう。その名を聞いたときに、彼がどうするかなど…」
 駄目だよ、ティエリア。お願いだからもうやめて。
 表情を消したその子の目が泣き濡れている事に、気付いていないわけじゃないでしょう。
「刹那・F・セイエイ!君が彼を…ロックオン・ストラトスを殺したんだ…っ!」

 ああ、貴方が溶かした心二つを、貴方はまた凍らせてしまうの?


2008.03.16
×マイスターズ。アレルヤ視点
ロックオンはやり逃げ






「戦うんだろう?刹那…」

「立ち止まるな。剣を、銃を取れ。その為に、俺はお前を生かしたんだ」

「託されてなんかやらないよ。これはお前の贖罪だ、刹那」

 ―――解っている。
 俺はきっと、ずっとその言葉が欲しかった。
 夢でも、幻でも構わない。
 だからどうか、まだ消えてしまわないでくれ。


2008.03.17
×刹那
白昼夢。逃げずに、戦えるように






 壊れてしまったのだと思った。
 狂った様にただ一人の名前を繰り返していたAIは、時に人間よりも――― そう、刹那自身より余程感情が豊かだったから。
 それはごく自然に。持ち主を――― 否、相棒を失くした事を、これは正確に理解したのだろうと。
『セツナ、セツナ!』
 ふわふわと自分の周りを浮かぶハロを、刹那は手を伸ばして受け止める。
『ロックオン、ロックオン!ハロ、セツナ、マカサレテ、マカサレテ!』
 忙しなく動く腕の開閉部。腕に抱いた丸いボディは、起動している機械特有の熱を孕んで温かかった。
「――― 馬鹿だ、あんたは…」
 慰めに、なるとでも思ったのか。
 こんなもの、お前の喪失を思い知らされるだけなのに。


2008.03.18
×刹那とハロ
たぶん、ずっと前から覚悟していた