初めに声が聴こえた。
 夢と同じにお前は変われと繰り返す、懐かしい声を。
「わかっている、…ロックオン」
 重く落ちた瞼の裏に、次いで彼の人の姿が見えた。
 濃緑のパイロットスーツ。癖の強いブラウンの髪の間から覗く、湖の両目。
 ――― そう。紛れもない一対の、瞳が。
 知らず唇から零れたため息の意味さえ、今の刹那にはわからない。
 けれど。
「ここで…俺は変わる」
 他の誰でもない。あんたが変わってもいいと言うのなら。
「俺自身を、変革させる…」
 柔らかく眇められた目の前の碧につられるよう、刹那もまた淡く微笑む。
 長い間忘れていた――― 否、忘れようとしていた彼の笑顔。
 薄い唇が蕩けるような甘さで自分の名を紡ぐのを、薄れゆく意識の中、刹那はただ満たされた思いで聴いていた。





16話派生
ニールには笑っていてほしいんです


2009.01.25