CAUTION!
5がカオス組に居ます
流血描写を含む死にネタなので、苦手な人はお戻り下さい
コスモス組全員消滅済ですが、上記下線部の被害者は9です
以上の事がダメな方は、このままブラウザでお戻り下さい
「いいですとも!」な方は、このままスクロール願います














































 粘ついた水音が、踏み出したブーツの先で小さく音を立てた。白いつま先が赤く汚れるのにも頓着せず、バッツは地に広がった血溜まりの中心に伏す”それ”に近づき、しゃがみ込む。
「つまんないなぁ。もう終わり?」
 顔を寄せ声を掛ければ、ひくりと”それ”が身動いだ。薄紅色の毛並みをした手負いの獣の様な”それ”は、しかし酷く緩慢な動きでこちらを見上げる頃には既に、一人の少年の姿に変わっている。
「は…っ、散々斬り刻んどいて…よく言うぜ」
「おっかしいなぁ…。目の前で仲間が死ねば、おまえ絶対おれを殺しに掛かってくるって思ったのに…」
 立てた膝の上に頬杖をつき、バッツは無邪気な子供そのものの仕草でことりと首を傾げた。「なぁ、ジタン」と親しみすら籠った声で、目の前の少年に問い掛ける。
「―――何で、本気出さなかったんだ?」
「へへ…、バレてたか…」
 一番最初に欠けた秩序は、ジタンよりも更に小さな子供だった。その事にコスモス勢の面々が何を思ったのかは知らないが、それ以来彼らは皆、見目幼いこの少年を前線に出す事を厭うていたように思う。現に今、夢想の少年を消し荒れ狂う獅子を屠って漸く、最後の一人となった彼と対峙出来たのだから。
「仲間がみぃんな居なくなって、自棄になったとか」
「―――それも、あるかもな…」
 手を伸ばし、己の体液と砂埃で斑に染まった金糸を撫でれば、青の目が心地良さそうに細められる。何となくその仕草が小動物を思わせて、バッツは手にしていた剣を無に還すと、空いた両手で気紛れに小さな体を抱え上げた。今正に死に逝こうとしているそれの温度は低く、手触りばかりが子供のまろい輪郭を伝えてくる。
「けど―――たぶん…、さ。オレ…、やっぱりおまえを殺すなんて…無理だったんだ」
 ごぼり、と喉から血の塊を吐き出して尚、腕の中の少年はうっそりと微笑んだまま、紅く濡れた手のひらをバッツの頬に這わせた。
「なぁ、バッツ…。おまえさ…今度会う時は、こっちに来いよ」
 徐々に焦点を失い、ゆらゆらと宙を彷徨う青を見つめる。もう何を言ったところで、ジタンの耳には届きはしないのだろう。
「ティーダと、バカ…やって。スコール…からかって、さ…。楽し…ぜ?きっと…」
 深く、不規則になっていく呼吸音。ふ、と零れた吐息に、彼が笑ったのだと知る。
「そしたら…おまえ、もう…寂しくない…だ、ろ…?」
 色を失くした唇が囁くように告げた言葉に目を瞬かせる暇もなく、緩慢に頬を撫でていた腕が落ちた。光の消えた瞳がゆっくりと瞼の裏に隠れゆくのを、抱えた体が僅かに重さを増したのを。まるで眠るように呼吸を止めた少年の輪郭がぼやけ、柔らかな光に包まれるのを、バッツはただ眺めていた。
「……何だよ。もう、いっちゃうのか?」
 ふわりふわりとジタンから光が舞い上がる度に、腕の中の存在が希薄になっていく。一際眩い光の珠が空へ還るのを見送ると、そうして残されたのはバッツ一人になった。頬を、服を最早唯一の彼の存在証明になってしまった鮮血に濡らした己の姿に視線を落とす。所在なく上を向いた手のひらを握りしめれば、「ああ」とため息にも似た声が零れた。
「―――そっか。そういう事か…」
 漸く合点がいったという様に、バッツは唇の端を引き上げる。口元に笑みを刷いたまま仰いだ曇天は低く、煽る様に啼き出した風に目を眇めた。


「確かに…、そっちの方が楽しいかもな」


 そうして最後の秩序を失った世界は均衡を崩し、幾度目かの輪廻が廻りだす。





基本考えるな、感じるんだの精神でお願いします←。バッツだけ見た目アナザー。
ジタンは一度情を感じた相手には最後まで甘いと思う。混沌バッツ相手とか、一番危ない。
死にネタは好きじゃないんですが、異説の場合は輪廻前提なんでアリかなぁ、と…


2009.04.08